井の中の蛙、大海を知り走り出す
『人間は経験をすることで初めて本当の意味で学び理解できる』
『井の中の蛙大海を知らず、ではダメ。視野を広く持つことが重要』
これが僕の27年間生きてきて得た教訓である。
机上で学んだ知識の多くは理解したるもりでいるだけで、その実は理解していない。
本を読んだだけでトマトや米が作れる?本を読んだだけでコミュニケーションが取れる?いやできない。
だからといって本を読む必要がないと言っているのではないので悪しからず。
本を読むことは物事の本質を理解するためではなく、本質を理解するためのベースをつくることとして必要なことである。
トマトの作り方を本で知り(前提)、0トマトの栽培を実践する(理解)。
そんなことお前に言われなくても理解しているよ!と、画面越しに聞こえてきそうではあるが、僕がこのことに気づくまでにはだいぶ時間を要した。
農業資材メーカーで仕事をしていたときのことである。
最初の配属は研究開発職という、メーカーの花形とでも言える職に配属となった。
農業の発展に寄与できる製品の開発に燃えていた。
開発にあたってまず農業の現状、そして作物の栽培ができるようにならないといけなかった。
もちろん農学部卒だからある程度の知識はあったが、栽培に関しては圧倒的に経験値不足であった。
農業資材メーカーの製品づくりの仕方として、実際に栽培試験してその資材が効果的かを確認することがある。
製品の実証試験以前に、作物がうまく育たないのである。
植物なんて簡単に育つでしょ?と思っている人、現実は難しいよ。
肥料の量、農薬の種類・量、気温、湿度、日照・・・すべての要素を細かく調整して栽培すると非常に難しい。
露地で栽培するのとポットで栽培するのだと、ポットで大きく栽培するのはさらに難しい。
ここで本で知っているだけでは話にならないことを痛感した。
栽培試験だけでなく、化学的・生物的な実験もしたし、遺伝子解析も行った。
様々なことを経験して知識もついて知ることの楽しさに夢中になってたとき、異動の内示がでた。
営業職への配置転換であった。
研究開発職を経験していたことで、営業をしても製品の情報を細かく顧客に伝えることができた。
営業になって気づいたことは、現場で求められてるニーズと研究開発に大きな隔たりがあったことである。
そう、私の勤めていたメーカーの開発職は井の中の蛙大海を知らずであった。
転職を決意した瞬間であった。
その後、一年ほど農業高校で勤めて今の仕事に至る。
高校という閉鎖社会について想うことも多くあるので、こちらは別エントリーで書くとする。
しかし、学校についても井の中の蛙大海を知らずということ、経験・実践をしたこともないのに知識だけを教える経験不足の教師など、言えることはメーカーに勤めているときに感じたことと同じである。
話を戻して、自身の教訓について。
製品の開発工程を知らない、見たことない人が営業をしたり、トマトの栽培をしたこともないのにトマトの栽培を教える教育をするなど、説得力のない言葉は響かない。
これは何も仕事だけではなく、生活をおくる上で重要である。
車の運転をしたこともないのに車の運転について語る、セックスをしたことないのにセックスについて語る・・・など。
経験を積むことは自身の人生の武器になる。
そして様々な経験を積むことでより深みのある言葉が生まれる。
様々な経験を積むことは視野を広くし、大海を知ることである。
視野を広く持てるようになれば主観的にも客観的にも物事を見ることができる。
専門職だからそんな考えは必要ない?むしろ専門職だからこそ大海を知るべき。
多くのことを知って専門分野に活かしていけばきっと良い仕事ができると思う。
以前のエントリーでジェネラリストとスペシャリストという記事を書き、僕は前者でありたいと書いた。
ずらずらと書いてきた教訓は一言で表すとジェネラリストになるためのものである。
そう考えるとやはりジェネラリスト資質なんだなと実感する。
しかし、この生き方にはあるデメリットもある。
それは『こだわり』がないことである。
その生き方の欠点もちゃんと理解して、スペシャリストの人たちと協力して仕事をしていければうまく回ると思ってる。
一人で何でもできる人はいない。
僕には僕の役割があり、それを果たして他の役割の人に繋ぐことが大事。
まさに適材適所である。
最後に。
先人の知恵や経験はしっかりと傾聴することを僕はオススメする。
どんなに経験することが大事だと言っても、人間経験をするにも限界があるため、他の人が経験したことを素直に取り入れて自身の糧としたほうが効率的である。
情報は多いに越したことはない。
その情報を取捨選択していけばいいだけである。
僕のこのブログも誰かの糧となることがあれば、それはそれでありがたい話である。
もうすぐ28になる。
27歳までで得た経験を28歳の自分に引き継ぎして、新たな1年を迎えるとしよう。
以上!